BIOGRAPHY
清岡 正彦 Masahiko Kiyooka
1973 高知県生まれ
1997 多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1999 同大学大学院美術研究科絵画専攻修了
2008 株式会社リペアバンク設立
2009 清岡正彦アート設計事務所設立
2013 洞窟現代設立
2014 Flimy Nature Studio(高意匠塗装事業) をリペアバンク内に設立
清岡正彦は、1997年の学生時代(当時24歳)、美術評論家と美術館学芸員の選出する日本のアートコンペティション※1のグランプリを獲得したことで、翌年、東京で初個展、作家活動を開始する。
初期より、絵画、彫刻といった分類上の形式に関心は無く、ものと音、空間、場所、光といった異なる要素の狭間を、結び目が生まれるように再配置し、偶然、必然の全てが接触、融合するような展示風景を作品の特徴にもつ。
日本の作庭や、神話思考、仏教思想から多くの影響を受け、環境、身体、意識を繋ぎ直す独自の風景観は、清岡曰く「器官としての自己」の認識上に生み出されている。また、「風景する身体」としての作品は、荒川修作の「建築する身体」との共通した問題意識をその通底部にもつ。荒川自体が、極めて唯物的に身体(建築)に着目した世界に対し、清岡作品は、唯識的な世界への移入力を身体(風景)として構築している。
近年は、屋外と室内の全てを作品の風景とすべく、廃墟空間、倉庫空間といった、美術とは無縁な空間で独自に展覧会を行い、意識の降り立つ場、それ自体をキュレーションしている。
並行して、Floating Dive、Cave Contemporary 、Filmy Nature ※2といった概念は、清岡正彦の問題意識の言語化そのものの現れであり、風景のためのアプローチをアート制作のみならず、芸術空間の運営、キュレーション、デザイン、ビジネスにおいても才覚を発揮し、国内外で多くの業績を重ねている。
現在、清岡正彦アート設計事務所代表 洞窟現代主宰 株式会社リペアバンク代表取締役
※1 1997年、現代アートの商業化が未発達だった日本で、東京の モリスギャラリーをはじめとした複数のギャラリーと、美術評論家、美術館学芸員によって、新しい世代の作品に目を向け、展覧会を企画するアートコンペティションが始まった。当時、審査員は美術評論家の鷹見明彦氏、西村智弘氏、美術館学芸員の掘元彰氏が務め、その時代、最も現代アート作品の目撃者であり、現場を重視し、権威とは結びつかない審査方法が画期的だった。
※2 Floating Diveは、清岡自身、人間の感覚をつくりだすために、展覧会や、作品に向けて多用している概念であり、言語の意味のパラドキシカルな配置を通じて、有りうべき非言語の領域を開示してきた。Cave Contemporary(洞窟現代)は、その領域を独自に実証していくためにつくられた芸術空間の名前である。そこには常に認識しうる世界への移入力が重視されており、現代の合理主義的な建築のあり方それ自体を問う場所にもなっている。Filmy Nature(皮膜の自然)は、対象となる建築を、色と素材の観点から変更を加えるために考案された概念であり、デザインプロジェクトである。
個展
2015 [Primitive Mirror/あなたが映るとき] ATELIER・K、神奈川
2009 [西六郷「一の湯」Mプロジェクト] 一の湯、東京
2008 [FLOATING DIVEⅢ] 藍画廊、東京
2007 [風景に還る Ⅱ ] 藍画廊、東京
2007 [風景に還る Ⅰ ] 藍画廊、東京
2006 [FLOATING DIVE Ⅱ ] アート・インタラクティブ東京、東京
2004 [NEW ENTRANCE] Galerie SOL、東京
2002 [FLOATING DIVE] Galerie SOL、東京
2000 [建築画] Galerie SOL、東京
1999 [セゾン現代美術館セゾンアートプログラム企画、アートイング東京1999:21×21] 淡路町画廊、東京
1999 [第3回アート公募’99モリスギャラリー企画賞展「透映体」] モリスギャラリー、東京
1998 [生まれつつある現在ー第2回アート公募’98審査員賞展ー「基地」] Keyギャラリー、東京
グループ展
2014 [洞窟現代第2回企画展「沈黙を求めて」] 洞窟現代、神奈川
2013 [洞窟現代第1回企画展「秘境を求めて」] 洞窟現代、神奈川
2011 [所沢ビエンナーレ美術展 2011「引込線」] 旧所沢市第2学校給食センター、埼玉
2011 [NAKANOJO BIENNALE 2011] 旧五反田小学校、群馬
2010 [奥之院中之条 温泉郷美術祭2010] 旧五反田小学校、群馬
2009 [NAKANOJO BIENNALE 2009] 旧五反田小学校、群馬
2009 [Maquette #2] Galerie SOL、東京
2008 [京橋3-3-8] 藍画廊、東京
2007 [第22回現代美術こうふ展「空間の味解 藤村記念館ー6つの解釈」] 藤村記念館、甲府
2007 [DEBLI プロジェクト企画「Enjoy ! Recycle & Re-create」] ギャラリー・ルデコ、東京
2003 [栞展2003] 藍画廊、東京
2002 [Each Artist展ーReal – Drive造形的欲動ー] ギャラリーGAN.f、東京
2002 [李禹煥・彦坂尚嘉共同企画、気体分子アートシリーズⅦ、ビットの幾何学展] 東京画廊、東京
2002 [TRACE展V] Galerie SOL、東京
2001 [白坂ゆり企画、開封景ー出会える異質ー(美術ライター、白坂ゆりとのコラボレーション展)] ART SPACE LIFE/days、移動式
2001 [神奈川アートアニュアル2001] 神奈川県民ホール・ギャラリー、横浜
2000 [鷹見明彦企画、TRANSIT 経由・滞域] ガレリア・ラセン、東京
2000 [峯村敏明企画、Each Artist , Each Moment 2000] ギャラリーGAN、東京
1999 [セゾン現代美術館セゾンアートプログラム企画、アートイング東京1999:21×21「INDEX」] セゾンアートプログラム・ギャラリー、東京
1998 [第3回アート公募’99企画作家選出作品展] 新木場SOKOギャラリー、東京
1998 [アート公募プレゼンテーション展] モリスギャラリー、東京
1997 [第2回アート公募’98企画作家選出作品展] Keyギャラリー+新木場SOKOギャラリー、東京
ディレクション
2013 [洞窟現代第1回企画展「秘境を求めて」] 洞窟現代、神奈川
2014 [洞窟現代第2回企画展「沈黙を求めて」] 洞窟現代、神奈川
レクチャー
2014.4.5 [アーティストが企画するということ] 遊工房アートスペース、東京
2013.10.3 [カテゴリーの外へ/美術とそうでないものを結びつけるようなこと] 多摩美術大学、東京
2011.8.6 [ナンゾザランヤ9] ジャズ喫茶Meg、東京
受賞
1998 第3回アート公募’99奨励賞、ギャラリー企画賞受賞
1997 第2回アート公募’98大賞受賞
著書
2010 「風景」と重なる思考 ①
参考文献
01『生まれつつある現在ー第2回アート公募’98審査員賞展ー』(展覧会リーフレット)Art Exchange Society事務局 1998年
・清岡正彦[コメント]/[略歴]
02『アートイング東京1999:21×21』(展覧会カタログ)セゾン現代美術館セゾンアートプログラム 1999年
・清岡正彦[コメント]/[略歴]
03『セゾンアートプログラム・ジャーナル2号』2000年1月1日号
・清岡正彦[シンポジウム・アートイング東京1999:21×21関連企画「自作を語り、未来を語る、新鋭21名」(コメントの抜粋 p6)]
04『美術手帖』2000年1月号
・鷹見明彦[Special Report アートイング東京1999:21×21「フィール・オブ・ドリームスはどこにあるのか」(作品のコメントp284)]
05『新美術新聞』2000年4月11日号
・[清岡正彦展(展覧会紹介)]
06『Each Artist , Each Moment 2000』(展覧会リーフレット) ギャラリーGAN 2000年
・清岡正彦[コメント]
07『ギャラリー・ガイド・マガジンetc.』2000年6月号
・清岡正彦[インタビュー(聞き手、斉藤一典)]
08『ぴあ』2000年7月31日号
・白坂ゆり[ありそうであり得ない未知との遭遇(作品のコメント)]
09『神奈川アートアニュアル2001』(展覧会カタログ)神奈川県民ホール・ギャラリー 2001年
・堀元彰[作家解説]/[略歴]
10『展評』2001年8月号
・松尾こなぎ[離見の見「転位線」「地景線」について]
11『現代美術の断面 日韓2000~2009前期の現況』京都国際芸術センター 2001年
・清岡正彦/[略歴]
12『美術手帖』2002年2月号
・白坂ゆり[2000年代日本のアートシーン読解「遠まきの世代」(作家のコメントp91)]
13『朝日新聞』2002年6月6日号
・[清岡正彦展ーFLOATING DIVEー(展覧会紹介)]
14『美術手帖』2002年8月号
・ドミニク・チェン[ギャラリー・レビュー]
15『テオリア』東京画廊 2002年
・清岡正彦[コメント]/[略歴]
・小倉正史[展評に賭けられるもの]
16『清岡正彦展ーFLOATING DIVE Ⅱー 』(展覧会リーフレット) アート・インタラクティブ東京 2006年
・清岡正彦[コメント]
・天野一夫[「と」の地平ー清岡正彦のためにー]
17『第22回現代美術こうふ展「空間の味解 藤村記念館ー6つの解釈」』(展覧会カタログ)甲府市教育委員会 2007年
・清岡正彦[コメント]/[略歴]/[座談会]
18『神奈川新聞』2007年9月7日号
・藤島俊会[美術展評]
19『清岡正彦展ー時を眺めるー』(展覧会リーフレット)一の湯Mプロジェクト 2009年
・清岡正彦[コメント]
・中島智[作庭師の見た夢]
20『美術運動』2010.3 No.137号 日本美術会機関誌
・宮田徹也[現代の美術がいる場所(作品のコメントp8)]
21『ART WORKS NAKANOJO BIENNALE 2007 – 2009』(展覧会カタログ)中之条ビエンナーレ実行委員会 2011年
・清岡正彦[コメント]
22『OZ magazine』2011.9 No.473号
・[作品紹介(展覧会紹介 p93)]
23『所沢ビエンナーレ美術展 2011「引込線」』(展覧会カタログ)所沢ビエンナーレ実行委員会 2011年
・清岡正彦[コメント]/[略歴]
24『ART WORKS NAKANOJO BIENNALE 2011』(展覧会カタログ)中之条ビエンナーレ実行委員会 2012年
・清岡正彦[コメント]/[略歴]
テレビ出演
2001 [テレビ美術館] フジテレビ